コラム

間取り変更で今の暮らしにフィットする家へ|定年後・介護も見据えた間取り変更を解説


住み始めた頃は最適だった間取りも、年月とともに家族構成やライフスタイルが変化すれば、使いにくさを感じることも出てきます。
将来的な介護の可能性も視野に入れ、人生の節目に合わせて、住まいも見直していきましょう。特に戸建て住宅はマンションと比べて間取り変更の自由度が高く、大胆なリフォームが可能です。
今回は間取り変更の基本や方法、費用相場の目安を総合的にまとめました。間取り変更を成功させるポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

間取り変更のタイミング

間取り変更とは、空間の使い方を大きく変えるリフォームです。修繕や設備の更新とは違い、住まい全体の機能性や快適性を向上させる本格的な改修となります。住む人や生活にあわせて間取りを変更することで、より快適に、安全に暮らし続けることが可能です。
まずは間取り変更を検討してほしいタイミングを見ていきましょう。

家族構成が変化したとき

家族構成が変化したときは、間取りを変更するきっかけになります。子どもが生まれて家族が増えた場合、それまでの部屋数では足りなくなるかもしれません。また子どもが独立して家を出た後は、使わなくなった子供部屋が無駄なスペースになりがちです。

子育て期間中はリビングの一部を仕切ったり、書斎や趣味の部屋を子供部屋に変更したりして子ども用の部屋を作り、独立後は夫婦それぞれが使いやすいように間取りを変えると良いでしょう。

また親と同居するときも、間取り変更が必要になります。親世帯と子世帯のプライバシーを確保しつつ、適度な交流ができる間取りにすることで、快適な二世帯生活が送れるようにしましょう。

ライフスタイルが変化したとき

近年、在宅ワークやリモートワークが普及してきました。家で仕事をするには、集中できる専用のワークスペースがあると便利です。また動画配信やハンドメイドなど副業を兼ねた趣味も、できれば専用のスペースがほしいですよね。
広い部屋や寝室の一部を仕切ってワークスペースを設けたり、使っていない部屋の間取りを変えて、家族それぞれの趣味の部屋に改修したりするとよいでしょう。

また在宅勤務で料理の機会が増えれば、キッチン周りも充実させたくなるかもしれません。対面式キッチンにしてリビングとのつながりを強めるといった間取り変更リフォームも人気です。

老後の住まいを考えるとき

定年後の生活や将来的な介護の可能性が見えてきたら、間取り変更のリフォームも検討しましょう。バリアフリー化だけでなく、階段の位置を変えたり、間取りを変えて使いやすい動線にしたりする工夫が必要です。またトイレや浴室を寝室に近い場所に配置することで、夜間の移動も安全になります。
さらに寝室を広くして介護用の機器が入りやすくしたり、主に介護を担当する人の部屋を近くに設置してすぐ対応しやすくしたりするのもよいでしょう。親類などに介護の交代を頼むときは、宿泊スペースも必要になるかもしれません。

暮らし方を考え、早めに対応しておくことで、いざという時に慌てずに済みます。

間取り変更の基本的なアプローチ

間取り変更には、壁をつくって部屋を増やしたり、階段の位置を変えて使いやすくしたりといったアプローチがあります。
間取り変更リフォームの基本的なアプローチをまとめました。

壁の撤去・増設

間取り変更で多いアプローチは、壁の撤去や増設です。壁を取り払うことで、複数の部屋をまとめて広い部屋をつくることができます。リビングと小部屋を扉で区切った間取りでは、ライフスタイルの変化にあわせて、扉部分を取り除いて開放的なLDKをつくる事例も多く見られます。
また可動式の間仕切りを使えば、必要に応じて、空間を柔軟に使い分けられます。

ただし、構造上重要な柱や壁は撤去できません。事前に建築士に相談し、構造の安全性を確認しながら、撤去する壁部分を検討しましょう。

リビング・ダイニング・キッチンの一体化

現代の住まいでは、LDKを一体化した間取りも一般的です。キッチンとダイニング、リビングの間の柱や壁を取り払い、広々とした空間をつくることで、家族のコミュニケーションが生まれやすくなります。
また対面式キッチンにすることで、料理をしながら会話ができるのもポイント。特に小さな子どもがいる家庭では、キッチンから子どもの様子を見守ることが可能です。
LDKを広くすることでゆったりとしたスペースが確保でき、ホームパーティーや家族の集まりなど、大人数での食事も楽しめる空間になります。

収納スペースの見直し

間取り変更では、収納スペースの配置や容量の見直しも行いましょう。各部屋に適切な収納があることで、室内がすっきりと片付き、暮らしやすくなります。

部屋を区切ったときにデットスペースができるようなら、ウォークインクローゼットを設けるのもおすすめです。衣類や季節用品を、一箇所にまとめて収納できます。また、階段下や廊下などのスペースを活用した収納も便利です。

なお収納を増やすときは、動線も考慮しましょう。玄関近くに収納があれば、コートや靴をすぐにしまえて便利です。洗面所の収納スペースは、タオルや洗剤をストックしやすくなりますよ。

和室・洋室の変更

和室を洋室に変更する、あるいは洋室を和室に変更することも、間取り変更で可能です。畳の部屋をフローリングに変えると床の掃除がしやすくなり、ベッドや洋風家具も配置しやすくなります。

一方洋室を畳のスペースにすることで、くつろぎの空間をつくることも可能です。畳は調湿性があり、ごろ寝をしたり、子どもの遊び場にしたりと用途も多彩。適度に柔らかく、温かみがあるので、家族の憩いのスペースとして部屋の一角に設置されることもあります。

なお和室から洋室への変更では、畳をフローリングに張り替えるだけでなく、押入れをクローゼットに改修する、襖を引き戸やドアに交換するといった工事も含まれます。

階段の位置変更

階段の移動は大規模な工事になりますが、動線が改善され、スペースを有効活用できます。吹き抜け階段にすると開放感のあるデザインになり、家全体が明るくなる効果も。特に二世帯で同居する場合は、人の移動にあわせて階段を増やすことも検討しましょう。

また階段の形状を変更することも可能です。急勾配の階段を緩やかにしたり、直階段を折り返し階段にしたりすると、安全性が向上します。住む人の高齢化を見越した、バリアフリー化にも貢献する施工です。

間取り変更の具体的な方法

間取り変更では、住む人の利便性や生活にあった計画が必要です。専門家との相談も欠かせません。
ここでは、一般的な間取り変更の方法や工事の内容を見ていきましょう。

2つの部屋を1つにまとめる

隣接する部屋の間の壁を撤去して、広い部屋にする変更です。リビングと和室をつなげて広いLDKにする、子供部屋2つを夫婦の寝室にまとめるといったケースがあります。

工事の前に、まず壁が耐力壁かどうかを確認します。
耐力壁でない場合は、梁の寸法や開口部の幅、2階の荷重の状態などの検討は必要ですが、比較的取り組みやすい工事です。
耐力壁の場合は、構造計算を行い、適切な位置へ耐力壁を作る必要がでてきます。工事が大規模になり、コスト的に見合わない場合もあるので、耐力壁の扱いは専門家とよく相談しましょう。

壁の撤去後は、床や天井の段差をなくし、照明やコンセントの配置も見直します。

1つの部屋を2つに分ける

広い部屋を仕切って2つの部屋にする変更です。子供部屋を男女で分ける、寝室と書斎に分けるといった用途があります。
新たに壁を設ける際は、各部屋に窓や照明、コンセントが適切に配置されるよう計画しましょう。可動式の間仕切りを使えば、成長に合わせた使い分けも可能です。

壁付けキッチンを対面式に変更

壁に向かって料理をするキッチンを、リビングを向いて作業できる対面式に変更する工事です。家族とのコミュニケーションが取りやすくなり、開放的な空間が生まれます。カウンターを設けることで、配膳や片付けもスムーズになります。
なおキッチンの間取り変更リフォームでは、給排水管やガス管、電気配線、換気扇のダクト工事が必要になることもあります。

水廻りの位置変更

浴室やトイレを1階に新設したり、寝室の近くにトイレを配置したりといった変更です。
老後の生活を考えると、生活の中で頻繁な階段の上り下りが必要な間取りは不安が残ります。水廻りは1階に集約し、階段を上らなくとも生活できるよう、将来的に寝室等を移動させるとよいでしょう。
ただし、水廻りの移動は配管工事が伴うため、費用は高くなる傾向です。

間取り変更にかかる費用

間取り変更のリフォームには、一般的に数十万円から数百万円の費用がかかります。費用を安く抑えるには、工事の内容を見直したり、補助金を活用したりするのもおすすめです。
間取り変更リフォームの費用の相場の目安、コストを抑えるコツをまとめました。

間取り変更のリフォーム予算の目安

間取りの変更リフォームでは、工事の内容によって、費用も大きく異なります。
一般的な相場の目安としては、以下のとおりです。


工事内容 費用の目安
間仕切りの撤去 10万~30万円
壁・ドアの新規設置 20万~80万円
和室から洋室へ変更(6帖) 60万円~120万円
ダイニング・キッチン・リビングをLDKに変更 200〜700万円

部分的な間取り変更であれば数十万円程度、部屋の統合・分割などの全面的な間取り変更では数百万円かかることもあります。

コストを抑えるには

間取り変更リフォームの費用を抑えるには、既存の設備や間取りを活かした工事がおすすめです。変更部分は優先順位をつけ、なるべく小規模な工事で済むよう、リフォーム計画を見直してみましょう。
また断熱改修や省エネ・耐震・介護を含むリフォームでは、補助金を活用できるケースもあります。自治体が独自の支援事業を設置していることもあるので、窓口等で確認してみましょう。

間取り変更を成功させるためのポイント

間取り変更を成功させるには、家全体のバランスを考えることが重要です。動線や収納、日当たり、風通しなど、住まい全体の機能性を総合的に判断しましょう。

また、実用性を重視した設計も必要です。見た目の美しさだけでなく、日常生活での使いやすさという視点を忘れてはいけません。実際の生活場面をイメージし、朝の目覚めから就寝まで一日の流れの中で不便がないか確認しましょう。

さらに将来の変化を見越して、子どもの成長や親の介護、自分たちの老後など、5年後10年後を想定してリフォームの計画を立てます。

こうした理想のリフォームでは、建築士や施工会社との綿密な打ち合わせが大切です。実際の施工事例を見せてもらうと、完成後のイメージがより明確になるでしょう。
質問を重ね、理想がはっきりした形になるまで、じっくり話し合ってみてください。

まとめ

間取り変更リフォームは、今の暮らしにフィットする住まいを実現する手段です。家族構成やライフスタイルの変化、老後の住まいづくりなど、人生の節目のタイミングで間取りを見直すことで、より快適で安全な生活環境を整えましょう。

費用は工事内容によって大きく異なりますが、優先順位を明確にし、補助金なども活用するとよいでしょう。家全体のバランスと実用性を考慮し、叶えたい希望や将来の変化も見越したリフォーム計画を立てて、建築士や施工会社と綿密な打ち合わせを行ってください。

香川で間取り変更をお考えなら、株式会社ヒカリにお任せください。ヒカリのリフォームでは、お客様のイメージをカタチにし、デザイン性+その人の生活スタイルに合わせた3つのテーマ(断熱、耐震、介護)を組み合わせてご提案いたします。将来を見据えた快適な住まいづくりを、一緒に考えていきましょう。


AZUSA
監修一級建築士 AZUSA

大学卒業後、㈱ヒカリへ入社。住宅の現場監督として7年間、新築・リフォーム・リノベーション現場を経験。その後営業課・積算課を経て、現在は今までの経験を活かし住宅リノベーション・リフォームのプラン作成~積算業務を担当。31歳のときに1級建築施工管理技士、32歳のときに一級建築士を取得。
趣味は旅行で、夢は都道府県すべてに旅行すること。

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