コラム

香川県で考える“防災×スケルトンリフォーム”|安心して暮らすための住まい再生法とは


香川県は、南海トラフ地震でも強い揺れが想定されている地域です。瀬戸内海に面した温暖な気候で暮らしやすい反面、地震や津波、高潮などの自然災害リスクとも隣り合わせにあります。

また香川県には築30年以上の古い木造住宅も多く、耐震性能が不足したまま居住しているケースが少なくありません。予算や建築基準の問題から建て替えは難しいけれど、耐震性能には不安があるという場合には、スケルトンリフォームを活用した防災対策がおすすめです。

今回は、愛着のある家に長く、安心して暮らし続けるための防災型スケルトンリフォームを解説します。

スケルトンリフォームとは?構造から再生する「強い家づくり」

スケルトンリフォームとは、建物を柱・梁・基礎といった骨組みだけ残して解体し、内部をすべて作り直すリフォーム工法です。

骨組みだけの状態に戻すスケルトンリフォームなら、耐震性の強化はもちろん、間取りや水廻りの配管、電気配線、断熱改修など、住まいの基本性能を根本から見直せます。

またスケルトンリフォームは構造がすべて見える状態になるので、徹底的な耐震補強が可能です。壁量の不足、筋交いの欠損・腐食、接合金物の不足といった構造の問題から、シロアリ被害や木材の腐朽、基礎のひび割れといった経年による劣化など、普段は見えない部分の問題も修繕できます。

南海トラフ地震に備えるための“防災型スケルトンリフォーム”のポイント

スケルトンリフォームでは、古い建物も、耐震性に不安がある家も、新築同様の防災型に変えることができます。まずは、防災対策の基本となる耐震等級と、防災型スケルトンリフォームのポイントを見ていきましょう。

耐震等級とは?

耐震等級とは、建物がどの程度の地震に耐えられるかを示す指標です。住宅の品質確保の促進等に関する法律で定められ、等級1から等級3までの3段階で評価されます。数字が大きいほど、地震に対する強度が高いことを意味します。

耐震等級1
耐震等級1は、建築基準法で定められた最低限の耐震性能です。震度6強から7程度の地震でも倒壊しない強度を持っています。

耐震等級2
耐震等級2は、等級1の1.25倍の強度を持つ建物です。学校や病院など、災害時に避難所として使われる建物に求められる水準です。

耐震等級3
耐震等級3は、最も高い耐震性能です。消防署や警察署など、防災の拠点となる建物に求められる水準で、大地震でも倒壊しにくく、軽微な補修で住み続けられる可能性が高くなります。

近年新築を検討するときは、耐震等級3相当を標準として設計されています。リフォームでは耐震等級は原則つきませんが、スケルトンリフォームで構造を全面的に見直すことで、できるだけ高い耐震等級相当の性能レベルまで引き上げ、安全性を確保することができます。

①構造補強で耐震等級を高める

防災型スケルトンリフォームは、構造補強による耐震性能の向上が可能です。現行の建築基準を満たすだけでなく、より高い耐震等級を目指すことができます。

耐震等級2・3に相当する性能レベルまで引き上げるためには、耐力壁量の確保、壁配置のバランスの調整、金物補強、基礎の補強、屋根の軽量化などを行う必要があります。

さらに、等級3を目指す場合には、バランスよく耐力壁を配置し、水平構面の剛性の確保や、耐力壁の種類を妥当なものにするなど、設計段階からの総合的な検討が必要不可欠です。

一般的な住居は等級1程度ですが、南海トラフ地震のような大きな災害に備えるには、より高い等級を目指すのが理想的です。

スケルトンリフォームでは、構造を補強し、根本的な補強を実施することで、より高い耐震等級を目指せるのです。

②感電・火災を防ぐ電気設備への更新

地震の際、古い電気配線や設備は感電や火災が発生するリスクがあります。特に築年数が経った住宅では、電気配線の劣化や容量不足が問題になっていることが多く、地震の揺れで断線したり、漏電したりする危険性が高まるからです。

スケルトンリフォームでは、電気配線を全面的に更新し、現代の電力使用量に対応した容量に引き上げます。分電盤も最新のものに交換し、漏電ブレーカーや感震ブレーカーを設置することで、地震時の火災リスクを軽減できます。

③停電・断水への備え

大規模災害が発生すると、停電や断水が数日から数週間続くことがあります。ライフラインが途絶えても最低限の生活を維持できるよう、備えを組み込んでおくことを検討するのも良いでしょう。

たとえば太陽光発電システムと蓄電池を導入すれば、停電時でも電気を使えます。災害時の安心感にもつながります。エコキュートなどの給湯設備も、停電時に貯めたお湯を使える機種がおすすめです。

また備蓄スペースの確保も重要です。水や食料、救急用品など、災害時に必要な物資をまとめて収納できる場所を設けましょう。玄関近くやパントリーに専用スペースを作ることで、いざというときにすぐに取り出せます。

防災を重視したスケルトンリフォームの具体的な流れ

防災を重視したスケルトンリフォームでは、施工前のヒアリングや事前調査が重要になります。
費用は建物の規模や劣化状態によって異なりますが、数百万円〜数千万円程度が目安です。防災設備や高床設計を加えると、さらに費用が増えます。通常のリフォームより高額になる傾向ですが、建て替えよりは安価です。

なお工期は、4〜6ヶ月程度です。

スケルトンリフォームの流れや、再構築プランを見ていきましょう。

①事前調査

防災型スケルトンリフォームは、通常のリフォームよりも綿密な計画と調査が必要です。まずは現地調査で、建物の状態を詳しく確認します。基礎の状態や構造材の劣化などを、専門家がチェックします。

柱・梁・耐力壁などの状態確認や、沈下の有無、床下の湿気やシロアリ被害、断熱・気密、雨漏り・外壁劣化など様々な項目を目視で確認するだけでなく、必要に応じて強度検査なども行います。

事前調査はリフォーム後の安全性・耐震性・快適性・コスト計画を大きく左右します。こうした情報をもとに、耐震性能、防水性能、断熱性能と設備や動線計画を統合した設計プランを作成し、施工に移ります。

②解体工事

スケルトンリフォームでは、最初に解体工事を行い、建物を骨組みだけの状態にします。この段階で、構造材の状態、土台や柱の乾燥状態、腐朽やシロアリ被害の有無を再確認します。実際に解体をすることで、調査時点では発見できなかった劣化や問題が判明することがあります。

発見された問題については、改めて修繕計画を立てます。腐朽した木材は交換したり、シロアリ被害があれば駆除と防蟻処理が必要になります。根本部分から徹底的に修繕できることが、スケルトンリフォームの大きなメリットです。

③工事開始

構造の状態が確認できたら、本格的な再構築の工事が始まります。再構築プランでは、防湿・断熱・耐震・高床設計も検討しましょう。

まずは基礎の防湿対策を強化します。床下に防湿シートを敷き、コンクリートを流し込み防湿用土間を施工するか、専用の樹脂吹き付け施工することで、湿気による木材の腐朽を防ぎます。

専用樹脂はシロアリの防蟻効果もあるため、近年施工件数が増えています。また断熱性能の向上も重要です。壁、床、天井に高性能な断熱材を施工し、窓は樹脂サッシや複層ガラスに交換します。断熱・気密性能を高めることで、快適性とエネルギー効率にもつながりますよ。

耐震補強では、プラン検討時に耐震診断を一緒に行うことで、建物に合った適切な耐震補強工事ができます。

古い木造住宅にお住まいの場合、耐震診断や耐震補強工事に自治体の補助金が利用できる可能性があります。補助金を活用すれば、耐震診断の費用や耐震補強工事の費用の一部を補助してもらえるため、費用負担を軽減できます。

株式会社ヒカリでは補助金についてもサポートしておりますので、「自分の家も対象になるのか知りたい」「費用が心配」という方は、お気軽にご相談ください。

スケルトンリフォームのイメージ事例

実際のスケルトンリフォームでは、どんな改修が行われるのでしょうか。ここでは災害対策のリフォーム事例をご紹介します。

地震対策のスケルトンリフォーム

スケルトン化では内部を骨組みまで解体し、耐震診断に基づいて壁量の再計算を実施します。ここで偏って配置されていた耐力壁などがあればバランス良く再配置し、柱脚金物や梁接合部を補強します。

制震ダンパーを設置することで、地震時の振動エネルギーを効率的に吸収することができます。

さらに、従来の重たい瓦屋根を軽量な耐震瓦へ葺き替えることで、建物全体の重量が減ります。このような様々な調整により、耐震等級3レベルを目指すことができます。

またスケルトン化することで壁内の見えない腐食や雨漏り跡も把握でき、問題箇所を根本から改善できるのが大きなメリットです。

災害自体を防ぐことは出来なくても、対策をしておくことで被害を抑え、被災時にも住み続けられるという考え方は耐震化の基本となるものです。

スケルトンリフォームでは、家の内部をすべて見直すことができるため、防災対策を行う絶好のタイミングです。リフォームを検討する場合には必ず耐震補強についても検討しておくと良いでしょう。

スケルトンリフォーム成功のポイント

防災目的でのスケルトンリフォームでは、地域の特性にあわせた対策が必要です。防災スケルトンリフォームを成功させる、3つのポイントをまとめました。

地域のハザードマップを設計に反映させる

スケルトンリフォームを計画する際は、必ず地域のハザードマップを確認しましょう。市が公表している津波浸水想定区域図や洪水ハザードマップ、土砂災害警戒区域図などを参照し、敷地のリスクを正確に把握します。

丸亀市ハザードマップ
https://www.city.marugame.lg.jp/site/bousaiinfo/list153.html

香川県 市町ハザードマップ一覧
https://www.pref.kagawa.lg.jp/kikikanri/hazardmap/ichiran.html

また沿岸部や河川近くであれば浸水対策、傾斜地であれば土砂災害への備えが必要です。地盤の液状化リスクが高い地域では、基礎の補強をより重点的に行います。災害リスクを設計に反映させることで、実効性の高い防災住宅が実現します。

スケルトン化で「見えない箇所」の状態を把握する

スケルトンリフォームの大きなメリットは、普段見えない構造部分の状態を完全に把握できることです。壁や床を剥がしてはじめて、シロアリ被害や木材の腐朽、基礎のひび割れなどが発見されることも珍しくありません。

この機会を活かして、徹底的な調査と修繕を行いましょう。

問題を見逃してしまうと、数年後に再び大きな工事が必要になります。専門家による丁寧な調査で、長期的に安心して住める住まいの基盤を作りましょう。

防湿・断熱・耐震・避難動線を統合した設計を考える

防災型スケルトンリフォームでは、個々の要素を別々に考えるのではなく、統合的に設計することがポイントです。防湿対策で構造材を守り、断熱性能で快適性を確保し、耐震補強で安全性を高め、避難動線で災害時の行動をスムーズにする。これらすべてを総合的に計画することで、真に安心して暮らせる住まいが完成します。

また優先順位をつけることも大切です。予算に限りがある場合は、まず構造の安全性を確保しましょう。次に防湿・断熱性能を高め、その上でデザインや設備のグレードを検討します。

長期的な視点を持ち、将来のメンテナンスのしやすさも考慮して計画を立てましょう。

災害に備えたスケルトンリフォームなら株式会社ヒカリにご相談ください

株式会社ヒカリは、香川県でのスケルトンリフォームに豊富な実績を持っています。お客様の理想の住まいを形にし、10年、15年後も住みやすい設計をご提案。南海トラフ地震や津波から大切な家族の命と財産を守るため、防災を重視したスケルトンリフォームをお考えの方は、ぜひ株式会社ヒカリにご相談ください。


AZUSA
監修一級建築士 AZUSA

大学卒業後、㈱ヒカリへ入社。住宅の現場監督として7年間、新築・リフォーム・リノベーション現場を経験。その後営業課・積算課を経て、現在は今までの経験を活かし住宅リノベーション・リフォームのプラン作成~積算業務を担当。31歳のときに1級建築施工管理技士、32歳のときに一級建築士を取得。
趣味は旅行で、夢は都道府県すべてに旅行すること。

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