コラム

二階建てを平屋にできる?リノベーションで老後も安心できる家づくりとは


子どもが独立したり、自身が高齢になったりすると、自宅の二階部分をなくして平屋にしたいと考える人も多いようです。階段を上り下りする必要のない平屋での暮らしは、生活の動線がコンパクトになるだけでなく、掃除などの管理の手間も減らせます。
しかし建て替えは費用が高額で、工期も長くかかります。そんなときは、二階建てを平屋にリノベーションするのがおすすめです。リノベーションなら建て替えよりもコストを抑えて、家を平屋にすることができます。
今回は二階建てを平屋にするリノベーションの方法やメリット・注意点、費用と工期の目安などをまとめました。成功のポイントもお伝えするので、参考にしてください。

使っていない二階をどうにかしたい!

二階部分が物置になっていたり、長い間まったく使っていないといったお悩みが増えています。年々階段の上り下りが負担になり、自然と一階だけで生活が完結している、という声が少なくありません。使っていないとはいえ、たまには風を通したり掃除をしたりも必要です。不具合があればメンテナンスも欠かせません。
普段使われず、締め切った状態の部屋は老朽化が進みやすくなります。こういった二階部分をそのまま維持し続けるのではなく、リノベーションにより暮らしやすい形に整えていく、その選択肢の一つが平屋化です。

二階建てを平屋にリノベーションするとは?

二階建てを平屋にするリノベーションとは、二階部分を撤去し、一階部分を暮らしの中心に再構築する工事のことです。二階の床・壁・屋根を解体し、一階だけで生活が完結するよう間取りや設備を見直します。
建て替えとの大きな違いは、一階部分の基礎と構造を活かせることです。完全に解体して新築する建て替えと比べて、解体費用や基礎工事・柱・梁などの構造材などの費用を抑えられ、工期も短く済みます。

二階建てを平屋にリノベーションするメリット

二階建てを平屋にするリノベーションには、主に5つのメリットがあります。

  • 老後も安心のバリアフリー住宅に
  • 家事動線の効率化
  • 光熱費を抑えやすい
  • 建物の荷重が軽くなり、耐震性アップ
  • 建て替えよりもコストを抑えられる
  • リノベーション後のメンテナンスコストを削減

それぞれ詳しく見ていきましょう。

老後も安心のバリアフリー住宅に

二階建てを平屋にすると、階段を使わずに生活できるようになります。
年齢を重ねると足腰が弱くなり、階段の上り下りに負担を感じるようになります。特に毎日何度も階段を使う生活では、家事や移動も大変です。日常での疲れがたまりやすくなると、転倒や転落の危険も高まります。
階段がなくなることで、こうしたリスクを排除できるのです。
またすべての生活空間が一階にまとまれば、移動距離も短くなります。寝室から洗面所、トイレ、キッチンまでを平らな床で移動できるので、歩行器や車椅子を使う場合も安全です。
将来的に介護が必要になっても、介助する家族の負担が軽くなり、在宅での生活を続けやすくなります。

家事動線の効率化

家事のすべてが一階だけで完結することも、平屋にする際の大きなメリットです。二階建てでは、洗濯物を二階のベランダに干すために階段を上り下りしたり、各階の掃除のために重い掃除機を運んだりする必要がありました。
平屋なら、洗濯機から物干し場までが階段なしの動線でつながり、掃除もスムーズです。また、住む人の高齢化にあわせてトイレや水場の近くの部屋に寝室を変えたり、空き部屋を物置にしたりといった用途替えの際にも、荷物の移動が楽になります。
高齢になって体力が落ちても家事の負担を感じにくく、ライフスタイルにあわせて暮らしを整えていけることが、平屋の魅力です。

光熱費を抑えやすい

二階建ての住居では、使わない二階の部屋の分の光熱費が余分にかかってしまいます。特に吹き抜けのリビングや階段部分などは二階へ熱が逃げやすく、夏は暑く、冬は寒くなりがちです。
平屋にすることで、生活空間がコンパクトにまとまり、必要な場所だけを効率よく冷暖房できます。
また天井が低くなることで、暖かい空気が天井近くに逃げることも少なくなります。リノベーションの際に断熱性能を高めれば、さらに光熱費を削減でき、快適な室内環境を保てますよ。

建物の荷重が軽くなり、耐震性アップ

地震の際の 建物の揺れは「重さ」に比例して大きくなります。つまり、二階の重さを取り除くことで、建物は本質的に揺れに強くなります。
上階荷重がなくなると、地震時の倒壊リスクが減少します。一階だけの構造となるため、壁量バランスを整えやすく、耐震補強が効率よく行えるのもメリットです。

建て替えよりもコストを抑えられる

家の建て替えは、多額の費用がかかります。二階建てを平屋にするリノベーションなら、一階の基礎と構造を活かせます。建て替えと比べて工事の工程が少ないため、費用も工期も抑えられるのが大きなメリットです。
経済的な負担が軽くなるので、精神的にも余裕をもった計画を立てられます。

リノベーション後のメンテナンスコストを削減

リノベーション後のメンテナンスコストが削減できるのも平屋化のメリットです。
屋根や外壁は面積が減ることで再塗装や張り替えの費用が縮小し、高所作業が不要になる分、足場代も大幅に軽減されます。
また、空調効率が高く、上下階の温度差が生じにくいため光熱費が抑えられます。さらに、二階部分が無くなることで雨漏りリスクが減り、内装や構造に関わる大規模な修繕の可能性も低下します。
二階部分の部屋がなくなることで、掃除や換気の負担がなくなることも、長期的な維持費の削減につながる重要なポイントです。

平屋化は、家を「小さく、強く、維持しやすく」することにより、生涯にかかるコストを抑えながら、安心して暮らし続けられる住まいへと変更する手法といえるでしょう。

二階建てを平屋にリノベーションする際の注意点

二階建てを平屋にリノベーションする際には、構造面や間取り計画に注意が必要です。
ここでは平屋へのリノベーションで注意したいポイントをまとめました。

構造面の安全性を確保する

二階を撤去すると、建物全体の重量バランスが変わります。二階の重みがなくなることで、逆に風による揺れが大きくなったり、構造が不安定になったりするのです。
一階の壁や柱の配置を見直し、必要に応じて補強することで、耐震性を確保しなければなりません。
それには、専門家による構造計算が必須です。専門家に依頼し、二階を撤去しても安全に住み続けられるかを確認してもらいます。また耐震診断を行い、必要な補強工事を明確にした上で、リノベーションを進めていきましょう。

屋根の新設が必要

二階を撤去すると、当然ながら屋根が失われます。一階部分に、新しい屋根の設置が必要です。
屋根の形状や材料によって、費用や工期は大きく変わります。
特にこだわりがない場合は、シンプルな屋根を選ぶとコストの削減につながります。一方デザイン性を重視する場合、費用は高くなる傾向です。断熱性能や耐久性も考慮して、最適な屋根を選びましょう。

間取り計画を工夫する

二階建てでは、一階と二階に分かれていた部屋や収納を、すべて一階に配置する必要があります。限られたスペースに、寝室やリビング、キッチン、浴室、トイレ、収納などを効率よく配置しましょう。
間取り計画では、部屋数を減らしたり、多目的に使える空間を作ったりといった工夫が求められます。現在の暮らし方を見直し、本当に必要な空間を優先して配置することで、快適な暮らしを目指します。
また、平屋になると採光条件や風通しが変わることにも注意が必要です。
二階建てでは二階の窓から光が入っていましたが、平屋では周囲の建物や塀によって光や風が遮られやすくなります。窓の位置や大きさ、天井の高さを工夫して、明るく、空気の循環が良い空間設計が重要です。

二階建てを平屋にリノベーションする流れ

二階建てを平屋にするリノベーションは、大きく以下のような流れで行います。

  1. 専門家との相談・ヒアリング
  2. 間取り計画の設計
  3. 工事

まずは現地調査を実施します。建物の構造や劣化状態、二階撤去の可否を確認。構造計算を行い、安全性を確保できるかを判断します。
次に、間取りプランを作成します。一階だけでどのような暮らしを実現したいか、必要な部屋や設備を検討します。収納計画や動線、採光なども考慮して、最適なプランを練ります。
設計が固まったら、詳細な見積もりを取り、契約を締結します。工事に入る前に、仮住まいを確保し、引越しを済ませます。
工事は、まず二階部分の解体から始まります。床・壁・屋根を撤去し、不要な構造材を取り除きます。その後一階部分の補強工事を行い、新しい屋根を設置します。
計画にあわせ、断熱材を施工したり、内装工事・設備工事を進めたりします。完成検査を経て、引き渡しです。

二階建てを平屋にリノベーションする費用と工期

費用は、建物の規模や工事内容によって大きく異なります。木造二階建てを平屋に減築する場合の費用相場は、数百万円〜数千万円前後です。水回りの設備や一階の間取りを大きく変えたりすると、費用は高額になります。
一般的に、二階建てを平屋にリノベーションするときの費用に大きく影響する項目は、以下のとおりです。

  • 耐震補強・断熱工事
  • 内装・設備工事
  • 水回りや配管の移動

そのほか、アスベストがある建物の工事は費用が高額になることがあります。
多くの場合、二階建てを平屋にするリノベーションは、建て替えより数割程度費用を抑えられます。既存の基礎と一階構造を活かせることが理由です。
また工期は数カ月程度が目安です。建て替えが1年程度かかるのに比べて、リノベーションなら短期間で済みます。
仮住まいの期間が短くなるので、総合的な費用がかなり安くなるケースもありそうですね。

二階建てを平屋にリノベーション vs 減築の違い

二階建てを平屋にするリノベーションは、減築とは少し異なる工事です。
減築は、建物の一部を撤去して床面積を減らすリフォーム全般を指します。二階の一部だけを撤去したり、離れを撤去したりするパターンがあります。必ずしも平屋にすることが目的ではありません。
一方、二階建てを平屋にするリノベーションは、二階全体を撤去し、完全な平屋住宅にすることを目的とした工事です。一階だけで生活が完結するよう、間取りや設備を全面的に見直します。

二階建てを平屋にリノベーションする成功のポイント

平屋へのリノベーションに適しているのは、一階部分の床面積が十分にある家です。
また木造軸組構法の住宅は、工事の自由度が高くなります。柱と梁で建物を支える構造なので、二階を撤去しても一階部分を補強しやすいので、平屋へのリノベーションにも向いた構造です。
一方、構造的な制約が多い家では、平屋化が難しい場合があります。まずは自宅が平屋へのリノベーションに向いているかどうか、専門家としっかり相談しましょう。

二階建てを平屋にするリノベーションを成功させるポイントは、以下の3つです。

  • 耐震診断を必ず行い、安全性を確保する
  • 屋根のデザイン・断熱性能を重視する
  • バリアフリーを意識した間取り設計を考える

まずは耐震診断を必ず行い、安全性を確保しましょう。二階を撤去しても建物が安全に保たれるか、専門家による構造計算で確認します。必要な補強工事を漏れなく実施し、地震に強い住まいにすることが重要です。
また、屋根のデザインと断熱性能も重視しましょう。新しく設置する屋根は、建物全体の印象を決める重要な要素です。デザイン性だけでなく、断熱性能や耐久性も考慮して選びます。高性能な断熱材を使うと、夏涼しく冬暖かい快適な住まいになりますよ。
バリアフリーを意識した間取り設計も大切です。せっかく平屋にするなら、段差をなくし、広い動線を確保し、手すりを設置するなど、老後も安心して暮らせる工夫を盛り込みましょう。トイレや浴室も使いやすい設備を選び、将来の介護にも対応できる設計にします。
また、収納計画もしっかり立てましょう。二階にあった収納スペースを一階に集約するので、思いのほか収納部分が少なくなります。ウォークインクローゼットやパントリーなど、必要な収納を配置することで、すっきりとした暮らしを保てます。

二階建てを平屋にリノベーションするなら株式会社ヒカリにご相談ください

二階建てを平屋にするリノベーションは、住む人のライフスタイルや健康状態にあわせて家を整える工事です。建て替えよりもコストを抑えられ、愛着のある家に長く住み続けることができます。
株式会社ヒカリは、香川県での豊富なリノベーション実績を持っています。二階建てを平屋にするリノベーションもお任せください。住む人の理想を形にし、将来を見据えた設計をご提案いたします。
老後も安心して暮らせる、平屋へのリノベーションをお考えの方は、ぜひ株式会社ヒカリにご相談ください。


AZUSA
監修一級建築士 AZUSA

大学卒業後、㈱ヒカリへ入社。住宅の現場監督として7年間、新築・リフォーム・リノベーション現場を経験。その後営業課・積算課を経て、現在は今までの経験を活かし住宅リノベーション・リフォームのプラン作成~積算業務を担当。31歳のときに1級建築施工管理技士、32歳のときに一級建築士を取得。
趣味は旅行で、夢は都道府県すべてに旅行すること。

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